サブプライム問題に端を発する相場の急落を受けて、はじめて投資に取り組むもうという個人投資家(予備軍)が後を絶たちません。
「株価が割安な今って、株を始めるチャンスでしょ?」
というのが良く聞くセリフで、これは必ずしも間違いではないのですが、それだけで自分の資産を守っていけるほど相場は甘くはないのもまた事実。なにせ、海千山千の「山師」がゴロゴロいる世界ですから、よほどしっかりした心構えなしには増やすつもりだったお金をかえって失ってしまい、ついでにプライドも傷ついて、「もう投資なんかやるものか!」となってしまうこともあり得ます。
そこで、今回のコラムでは、心理学的な側面から投資に臨む心構えを10回にわたって解説します。筆者は仕事柄、初心者が投資をはじめる現場に数限りなく立ち会ってきましたが、誰もがどうしても引っかかりがちなワナというのはあるもの。これを、「投資初心者10の大罪」という切り口でまとめました。
もちろん、「大罪」が分かっただけでは不十分。初心者が陥りがちなワナを避ける心構えを、いわば「魂の救済」としてまとめています。ぜひこのコラムを、金銭的にも精神的にも豊かになる投資のヒントにしてください。
さて、では最初の初心者が陥りがちなワナを解説しましょう。第1の大罪、それは、「投資をはじめない」こと。
実際いますよね。株価がこれだけ下がってきて、今が投資のはじめ時だと証券会社に口座を開いたはいいけれど、いつまでたっても様子見ばかりで実際に投資をはじめない人。
「いつが底値か見極めてるんです」
というのは理屈としては正しいのですが、そんなのプロでもなかなか分かりません。気が付いたら日常の忙しさにかまけて投資を始めずに、自分の資産を増やすチャンスを逃してしまうことはよくあります。
そして、そんな人に限って、株価が十分に上昇して高値になった頃にようやく重い腰を上げるものです。
「そろそろ株価も底を打ったし、はじめてましたっ!」
って言う頃には逆に相場は過熱気味。またもやバブルがはじけて大きな損をして、大事な資産を守ることができなくなってしまいそうです。
こんな「大罪」を抱えた人にお届けしたい「魂の救済」は、当たり前ですが、投資をはじめること。ホントに少額でもよいのです。投資信託であれば1万円から買うことができますし、個別の株と違って1万円がゼロになるリスクは限りなく低い。仮に損したとしても授業料と思える範囲の少額でいいですから、まずは証券会社に口座を開いてはじめてみましょう。
人間、「現金」なもので、1万円とはいえ自分のお金がかかっていると、それだけで意識のアンテナが向くものです。こうなればもうしめたもの。情報が自然と頭の中に入ってくるようになって、自分がやりたい投資が明確になる。そのための手法がだんだん分かってくる、そんな好循環が回り出します。
ということで、第1回目のまとめ。
投資初心者第1の大罪:「投資を始めない」
大罪を浄化する魂の救済:「1万円でいいから投資を始めて、意識のアンテナを張り巡らせる」