「タマゴをひとつの籠に入れるな」

投資の金言として、聞いたことがある方もいるでしょう。

タマゴをひとつの籠に入れてしまうと、その籠を落としたときに全部割れてしまうので危ないよ、いくつかの籠に分けて入れておけば、たとえひとつの籠を落としてしまったとしても、タマゴはいくつか残るでしょう?、という生活の知恵です。

投資にたとえるならば、全財産をひとつの会社の株に投資してしまうと、その会社の株価が下がると資産額がガックリと減ってしまって危ないよ、いくつかの会社の株を同時に持っておけば、たとえ1社の株が下がったとしても、資産額の減り方は少ないでしょう、ということになるでしょう。

「分散投資」、「ポートフォリオ」、などと投資用語では呼ばれる概念ですね。

ただ、そうすると問題がひとつ。

仮にひとつの籠に入れないとしたら、どの籠に卵を入れればいいのか?つまり、複数の会社に投資するとしたら、どの会社の株を買えばいいのか?という疑問が出てくるわけです。

AAIIが、この疑問に対する回答をしています。

「AAIIのモデルポートフォリオ〜投資のアイデアと教育に関するネタ (AAII Model Portfolios – A solid source for investment ideas and education)」と題された小冊子で、AAIIが推奨する株式投資の組み合わせが示されているのです。

その銘柄をみてみると…

Bonso Electronics International, D&E Communications, Inc.等々、日本人には(米国人にとっても?)なじみのない会社が多いようです。

注目すべきは、どのくらいのリターンが上がっているか、でしょう。

 1年間 3年間 10年間
 23.9% 43.1% 19.7%

と、いう運用利回りを上げているようです。

リターンが高い?

高いです。比較となる、バンガード500インデックス・ファンドの、同期間の運用利回りと比べると、その高さが際だちます。

         1年間 3年間 10年間
AAII
モデル・     23.9% 43.1% 19.7%
ポートフォリオ:

バンガード500
インデックス・  8.3% 12.0% 9.2%
ファンド:

ただ、よく読んでみると、AAIIは、実はこのポートフォリオを必ずしも薦めているわけではなくて、むしろ、教育のツールと考えているような気がしてきました。

つまり、「このポートフォリオ通りの株を買ったら儲かるよ」という言い方はしていなくて、「AAIIは、こんな考え方に基づいて株を選別していて、そしたらこんなリターンになったよ」と言っているわけです(なので、上述の、「AAIIが推奨している」という言い方は言い過ぎですね)。

確かに、個々の銘柄を推奨することは、個人投資家に対する教育にはならないので、AAIIのミッションには反するのでしょう。

ともあれ、米国の事例とは言え、これだけ高いパフォーマンスを上げているポートフォリオですから、一見の価値はありそうです。