前回で、ソニーから株主総会の案内が来たことを紹介 [1]しました。

今回は、いよいよ株主総会への出席です。

まずビックリしたのは、参加者の多さ。品川駅から会場の高輪プリンスホテルに向かう道は長蛇の列。聞くところによると、6-7,000人が出席したとのことです。

(自分のことをさておいて)みなさんヒマですねー。とおもったら、けっこう高齢の方が多いのですね。リタイアされた方だったら、お時間はあるわけだし、ご自分の老後資金として株を買った会社がどうなるかは気になるところでしょう。

ちなみに、ソニーの前CEO出井氏が就任した1995年当時は参加者が450名程度だったとのことなので、今年は出井氏・安藤氏の退任に伴う大幅な役員人事の変更があったとはいえ、参加者数がものすごく増えているわけですね。

内容的には、けっこう株主の方からマジメな質問が多くて面白かったです。業績低迷を数値で示した上で、その原因は何かを質問される方もいて、逆にソニーの経営陣はたいへんだな、とも思いました。

ちなみに、その中でも、社長に就任する中鉢氏の歯切れの良い答弁、誤りを認める率直な態度はかっこよかったですよ。

まず率直に、現在の業績が悪いことを認めた上で、社内の信頼関係を回復することが業績復活のカギだ、と言い切る姿勢には、業績回復へのコミットを感じました。

「社内の信頼関係を回復」ということは、現状では信頼が失われていることを指摘することになるわけで、現経営陣である出井氏、安藤氏を前になかなか言いにくいことなのに、それをあえて、しかも株主総会という場で発言する勇気に敬意を表します。

とはいえ、事業の方はキビシイですねぇ。コア事業であるエレクトロニクス事業は、2004年度は343億円の赤字を計上し、2003年度に比較しても大幅に赤字幅を拡大してしまった。会長兼CEOであるストリンガー氏は、そのバックグランドからもエンターテイメント事業の管掌に注力することは想像に難くなく、ますます中鉢氏のリーダーシップが問われるところになるでしょう。

そう言えば、こちらはホントに今をトキメク、アップルのCEO、スティーブ・ジョブズ氏が昔(Fortune 1998年11月9日号)のインタビューで面白いことをいっていたのを思い出しました。これからのAppleの戦略を聞かれて、

 ”The whole strategy for Apple now is, if you will, to be the Sony of the computer business.”
 (アップルの戦略は、コンピュータ業界のソニーを全力で目指すことなんだ)

7年前の輝きをソニーは取り戻せるのでしょうか?

                                                              つづく

[1] http://www.money-college.org/blog/contents/souken/ocain/soukai1